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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「云ったな」

私は憤然として、提督の頬桁をなぐりとばした。私は、もはやこれ以上、日本民族への侮辱にたえられなかったのである。

苦悶する米提督――欧弗同盟軍に砲門は開けない

「おお、では君は、日本人だったのか。なぜ初めから、そのとおり姿を見せてくれなかったのか」

提督は、非常な驚愕を示して、椅子から立ち上った。そして、呻くように、

「おお、日本人、たしかに日本人だ。……」

と云って、手で自分の眼を蔽う。

私は悟った。私の姿が、提督の前に現われたのだ。それは全て、X大使の余計なおせっかいであった。このへんで、私の姿を、ピース提督に見せてやろうと考えて、いきなり実行したのであろう。私には何の相談もなかったのだ。私は結局、傀儡である。X大使の手によって、勝手にうごかされている人形でしかない。私は口惜しかった。だが、どうすることもできない。なに分にも、相手は四次元の生物X大使だから……。

私は観念して、ピース提督の前に立ち、彼がどうするかを凝視した。

ところが、提督は思いの外、周章狼狽しているのだった。彼は、後ろの壁に、ぴったりと体をつけ、恐怖の眼なざしをもって、私を見据えた。