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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「オルガ姫、こんどは、東京へ向けてみよ。途中、富士山にぶつかるだろうから、その地点を忘れないで教えて、ちょっと停めよ」

「はい」

潜水艇の針路は、すこし北へ修正された。

不思議なベトン塔――とにかく東京までゆけ

「ここが富士山の位置です」

オルガ姫から注意されて、私は、また更に愕いた。

「富士山は、ここかね。山なんぞ、ありはしないが……」

どう見まわしても、富士山らしいものはなかった。このとき艇は、海面下わずかに一メートルのところを走していたのを、ぴたりと停めたわけであるが、このとき見えるのは、艇の下、約七、八メートルのところに、なんといったらいいか、恰も並べられた大きなパンの背中を見るような感じのするベトンだけであったのだ。やや凸凹はあるものの、山らしい形のものは、さっぱり見当らない。

「ふしぎだ、ふしぎだ」

私は首をふった。

「オルガ姫とにかく東京までいってみろ」

「はい」

東京へいっても、おそらく同じことであろうと思ったが、東京へついてみると、やっぱりそうであった。見えるのは、すべすべしたベトンの背中ばかりであった。

「ふうむ、やっぱり同じことだ。オルガ姫、艇をこのまま沈ませて、しずかに、あのベトンのうえにつけよ」