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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

ところが今、怪しい艦艇が近づきつつありと、オルガ姫は、報告してきたのであった。

怪しい艦艇とは、いずくの国のものぞ。

その詮議はあとまわしだ。今は、なには兎もあれ、待避しなければならない。私は、椅子から腰をあげた。

「姫、籐椅子を、下にもってきてくれ」

「はあ」

「それから、後を頼むぞ」

「はい」

私は階段を、駈け下った。

つづいて、オルガ姫が椅子を持って、階段を駈け下りてきたと思うと、彼女はその足ですぐ配電盤のところへ、とんでいった。

複雑なスイッチが、つぎつぎに入れられた。赤や白や緑やの、色とりどりのパイロット・ランプが、点いたり消えたりした。防音壁をとおして、隣室の機械室に廻っている廻転機のスピード・アップ音が、かすかに聞える。

私たちの体は、なんの衝動も感じなかったけれど、深度計の指針は、ぐんぐん右へ廻りだした。

室内の空気の臭いが、すっかりちがってきた、薬品くさい。もちろん、それは濾過層を一杯にうずめている薬品の臭いであった。

「三隻よりなる哨戒艦隊、東四十度、三万メートル!」

オルガ姫は、すきとおる声で、近づく艦艇を測量した結果を、報告した。

「どこの国の艦だか分らないか」