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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「うん、今は帰るが、いずれそのうち、実力をもって、また君たちとまみえる折があろう。そのとき、また火花を散らそうぞ」

そういったかと思うと、X大使の姿は、ふっと空間から消え去った。あとには、硬い床だけが残った。

(久慈たちは、何処へいった)

私は、さわぎ立つ胸をおさえて、島内を、探しまわった。

「いない。久慈たちは、どこにもいない」

私は、元の広間へ戻ってきた。そこには、オルガ姫がにんまり微笑んで待っていた。

「オルガ姫。お前は、久慈たちを知らないか」

「ああ、久慈さんたちは、今そこに現われかけています」

と、オルガ姫は、私のうしろを指した。

「なに、現われかけている」

私は、うしろをふりむいた。そして、あっと愕きのこえをあげた。広間の隅に、久慈たちが朦朧と立っているのであった。しばらくすると、その姿は、はっきりとして、常人と同じになった。とたんに久慈たちは、非常な驚愕の色をあらわし、折り重なって、私の前に倒れた。

私は、久慈たちが、どこにいっていたかを、悟るところがあった。彼等もまた、X大使のために、四次元世界に放りこまれていたのにちがいない。そして大使はこのクロクロ島を去ると共に、久慈たちをもとの場所にかえしてよこしたのに相違ない。