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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

そのとき、階段に、ことんことんと足音が聞えた。私とオルガ姫との二人の外に、誰もいない筈の艦内に、とつぜん聞える足音の主は、一体何者ぞ!

意外なる闖入者――触覚をもった謎の男

私は、夢を見ているのではなかろうかと疑った。

至極古い方法であるが、私は、震える指先で自分の頬をつねった。

(痛い!)

痛ければ、これは夢ではない。いや、そんなことを試みてみないでも、これが夢でないことは、よく分っていたのだ。

夢でないとすれば――近づくあの足音の主は、誰であろうか?

絶対不可侵を誇っていたクロクロ島に、私の予期しなかった人物が、いつの間にか潜入していたとは、全くおどろいたことである。そんな筈はないのだが……。

だが、足音は、ゆっくりゆっくり、階段を下りてくる。私の体は、昂奮のため、火のように熱くなった。

こっとン、こっとン、こっとン!

ついに、階段下で、その足音は停った。

ついで、扉のハンドルが、ぐるっと廻った。

(いよいよ、この室へはいってくるぞ!)

何者かしらないが、はいって来られてはたまらない。私は、扉を内側から抑えようと思って立ち上ろうとした。

だが私は、体の自由を失っていた。