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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

“――元首ビスマーク将軍は、今、寝所に入ったばかりである。元首は一昨日以来、ベルリンにおいて閲兵と議会への臨席とで寸暇もなく活動している。因みに、ベルリン市には、数年前から一人のアラビア人もいない”

この放送は、明らかに、ワシントン特電がデマ放送であることを指摘し、反駁しているものであった。その外のことについては、ベルリン特電は、なにもいっていないし、欧弗同盟のいずこの地点よりも、一つの放送さえなかった。それは、非常にりっぱに統制が保たれているというか、或いは開戦にあたって、作戦の機密を洩させまいと努力しているのだというか、とにかく林の如く静かであることが、汎米連邦側にはすこぶる気味のわるいものであった。

汎米連邦と欧弗同盟国との戦闘は、あと数日を出でないで、開始されるであろうと思われた。

「落下傘が六個、下りてきます! 頭上、千五百メートル付近を、下降中!」

とつぜん、オルガ姫の声であった。

私は、空を仰いだ。

ああ、見える見える。灰色の爆弾のようなものが、ぐんぐん下におちてくる。もっとスピードが速ければ、爆弾と間違えたかもしれない。

落下傘は、主傘を開いていない。