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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

これは、地球の深海なら、どんな深さのところでも通れるし、スピードも、中々はやいから、敵の監視網や水中聴音器などは役に立たない。しかも、飛行機のように、空中から目立たなくていい。

「あと、五十分で、東京港に到着いたします」

と、オルガ姫が叫ぶ。

オルガ姫も自分も、この魚雷型潜水艇内に寝たきりである。だから、この潜水艇の胴中が、魚雷をほんのちょっと太くしたぐらいにすぎないことが知れる。

「そうか。まず、誰にも見付からなくて、いい按配だったな」

と、私は、思わず、生きた人間に話すように、いったことである。三時間、こうして、身動きもならずじっと寝ているのも、退屈なものである。

オルガ姫は、なにもこたえなかった。そういう主人のことばに対しては、何もこたえる仕掛けにはなっていなかったのである。

東京で、私を迎えてくれるのは、一体誰であろうか。

それは、もちろん私を招いた人であるが、その人こそ戦軍総司令官の鬼塚元帥であったのだ。

今こそ、一切をここに書くが、私――黒馬博士は、国防上の或る重大使命をおびて、クロクロ島に乗り込み、はるばる例の西経三十三度、南緯三十一度というブラジル沖に派遣されていた者である。