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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

そして、そいつは、生身の人間でしょう。いま、よく調べてみます」

大佐は、そういって、自動車の中から、マリ子をひっぱりだした。彼は、マリ子の頸のあたりをしきりに調べていたが、やがて、

「おお、やっぱりそうだ」

といって、指先で、マリ子の皮膚をいじっているうちに、ベリベリと音をさせて、マリ子の頸のところから顔面へかけて皮膚を、はいでしまった。その下からは、マリ子とは、似てもつかない鼻の高い、白人女の顔が出て来た。

「マスクだ。巧妙なマスクを被っていたのだ。元帥秘書のマリ子と、そっくりの完全マスクを被っていたのだ」

私は、万事を悟って、苦笑した。なんだ、つまらない奇計である。

大佐は、白人女の死顔を、じっと眺めていたが、

「はて、この顔は、見覚えがある。これはたしか、アストン女史というポーランド女だ。アストン女史が、東京へはいりこんで活躍するとは、はて、訳がわからないぞ」

大佐の疑問は、尤もであった。私には、見当がつかない。ポーランド女が、なぜ東京へはいりこんで、私にクロクロ島のことを聞きだそうとしたのであろう。

それから二十分ほど後、私たちは、鬼塚元帥と、大きな卓子を囲んで、向いあっていた。