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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「どうも仕方がないのだ。狙われるだけの価値があるのじゃ。わが大東亜共栄圏は、三十年来の建設的努力が酬いられて、ついに今日世界の宝庫となるに至ったのだ」

元帥の眉が、ぴくんと動く。

「米連と欧弗同盟とは、戦闘開始の一歩前に、このどんでんがえしの盟約を行ったのである。白人の外交は、いつの世にも、あまりに複雑怪奇である」

「すると、白色人種と有色人種との間に、歴史的な、そして宿命的な戦闘が始まるのですか」

私は、そのように聞かずにはいられなかった。

元帥は、私の鋭い質問に対しては、直接には応えず、

「白色人種だの有色人種だのという区別を考えることが、既におかしいのである。だが、白人の中には、或る利己的な謀略上、そういう考え方を宣伝する悪い奴がいるのだ。われ等有色人種の道義としては、全く想いもよらないことだが、白人の中には、有色人種を今のうちに叩いておかなければ、やがて有色人種のため、白色人種が奴隷になってしまう日が来ると、本気でそう信じている者がいる。そして、今、この誤れる思想が、燎原の火の如く、白人の間にひろがっているのだ。だから、われわれの真の敵は、一般白人にあらずして、今回謀略上このような怪思想の宣伝を始めた黒幕の主こそ、われわれの真の敵である」