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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

沈没速度は、見る見るうちにはげしくなり、そしてクロクロ島は、ついに、海底に突きこんだ。乾泥が、高速度映画のように、海水の中に、緩かな土煙をたてる。千切れた海草が、ふらふらと舞い上っていくのが、爆風で跳ねあげられた人間のように見える。

クロクロ島の中にいる筈の久慈たちは、一体なにをしているのであろうか。その前、クロクロ島は、巡航中の米連艦隊の鼻の先を、悠々と漂流していたという。それは、正気の沙汰ではない。久慈たちは、なぜその前に、救助信号を出さなかったのであろうか。そう考えてくると、久慈たちは、既にクロクロ島の中で、死んでしまっているのではあるまいか。なぜ、そんな重大な事態を惹き起したのであろうか――と、私は頭脳の中を、いろいろな考えが、走馬灯のようにぐるぐると駈けまわる。

ああ遂に、超潜水艦は、沈没し去ったのだ。南半球において重大使命を果すはずのクロクロ島が、その機能を失ってしまったのだ。作戦は、一大くいちがいを起した。祖国日本にとっては、事態はまた更に一歩、険悪化した。クロクロ島の設計者であり、そして、つい先頃までは、その中に起伏していた私としては、こんなに残念なことが又とあろうか。