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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「うむ」

X大使の声だ。大使は、まだ私の身辺にいたのである。

「折角わしの書いておいた記事を、君は消すつもりではあるまいね」

私は無言で、ペンを捨てた。私は赤面した。

「黒馬博士。わしは、二度、君の希望に従い、協力した。もう一つ、わしは君に力を貸してもいいと思っている。で、どうだね、これから、米艦隊の旗艦に、司令長官ピース提督を訪問してみてはどうかね」

X大使は、とんでもないことをいいだした。

「もとより、それは希望するところであるが、これから、どうして敵の旗艦に近づけばいいか。私が甲板を踏む前に狙撃でもされれば、おしまいだ」

と、私がいえば、X大使の声は、

「そんな心配は無用だ。安全に行ける方法がある。君は、ピース提督に会い、そして安全にここへ戻って来られるのだ。決して間違いのないことを、わしは保証する」

「しかし、私には信じられない。少くとも敵は、私を捕虜にしないではいないだろう」

「安心したまえ。ねえ、黒馬博士。君は、わしの力を信じないのかね。あの七、八本の鎖を切断したときのことを考えて見給え。それから、一瞬のうちに、三角暗礁へ艇をつけてあげたことを考えてみるがいい。