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かいとのはなし

垣内の話

柳田 国男

「民間伝承十二卷八・九號」1948(昭和23)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,985 字 · 14 页

青空文庫

ことはまだ言えない。

終りに第三の種類はやや見のがされやすいものだが、垣内の名前には植物の名を付けたれいが多く、それも自然に生い茂ったものよりも、遠くからの目標になるような樹木の、わざわざ栽えるか伐り残さなければ、ないようなものがよく用いられている。これがあるいは前の二つとともに、垣内を理解する手掛りになろうかと思う。垣内は文字通り、垣で囲った土地の区劃ということだったにしても、それが今日の生籬や建仁寺垣のごとき、労費のかかったものであった気づかいはない。一つの垣内の中には畠もあれば田も含まれ、またしばしば未開・未測量の荒野というものが附属していた。それを標識して占有を明らかにするには、むしろ朽ちたり倒れたりせぬような、立木を見通しに残す方が便利だったはずである。最初は事によると居住を主とし、それを防衛するための垣だったのかも知れぬが、垣津田というものはすでに『万葉集』の頃からあり、それを養うべき池の堤までが用意せられていた。そうして稲作は特に日蔭を忌み、また周囲にやや広い草地を存することが古い時代の農法でもあったことは、この問題を考えてみるために、ぜひとも用意してかかるべき予備知識である。