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「だん」のかいたい
増補 美学的空間
中井 正一
中井正一『増補 美学的空間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「壇」の解体、生きている空間、言語は生きている、現代美学の危機と映画理論。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,324 字 · 44 页
と云う言葉が、何時頃から用いられたか、目ぼしい文献で統計を取って見た。今のところ、室町時代の『秋月物語』に一つあるきりで、天正十五年の秀吉の手紙の外は見あたらない。
それまでは「け」「けしき」「けしきばむ」「けはい」等で、天地の中に拡がっている精霊のようなもの、ぼんやりした喜怒哀楽であって、直接心理の反省の対象とは、なかなかなって来ないのである。
武士で「気色」となると、人前で威容をいかめしく正して、やや怒気をふくんだ、気張ったものである。
梶原景季が名馬磨墨を貰って、「気色してこそ引せたれ」等肩をいからせて、鼻息あらく出てゆくところ、目に見えるようだが、これを源氏の「院より御気色あらむを」(澪標)などと云う用法とは見事に異ったものである。
殊に面白いのは、太平記で「気」なる言葉と、「機」(仏教で法に対して、受身の自分を意味する)なる言葉が、交流してどちらともなく、一つのものとして読み違えられて来るのである。
例えば、
「気をつめて」(用例一)「機をつめて」(用例三)
「気を直して」(用例一)「機を直して」(用例一)
「気疲れ」(用例一四)「機疲れ」(用例四)