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「だん」のかいたい

増補 美学的空間

中井 正一

中井正一『増補 美学的空間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「壇」の解体、生きている空間、言語は生きている、現代美学の危機と映画理論。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,324 字 · 44 页

青空文庫

あたりまえの事を考えついたのであるが、封建時代の考え方をたち切ってここまで来るのには、鎖の様なものを頭の中で切って捨てなければならなかったに違いない。

そして芸術は、個人の主観が創造するものと初めてなったのであった。

やがてかかる考え方が徹底してあらわれたのが、オスカー・ワイルドの言葉、「芸術は決して自然の模倣ではない、寧ろ自然が芸術の模倣である。一体自然とは何であるか、自然は我々を生んだところの大いなる母親ではない、自然こそ我々の創ったものである」となって来るのである。

ワイルドこそ、一六〇〇年に個人主義文化をいち早くうち立てた英国の文化史上において、一八〇〇年代の世紀末をかざる一つのモニュメントである。そして三百年の文化がうち立てた諸芸術概念、天才の概念が放恣と狂気の概念に、独創の概念が孤独と遊離の概念に転化していったことを人々の前に浮彫りして見せた。一九〇〇年彼の死の年に続いたこの二十世紀はすでに、ただならざる意味に於て個人主義文化を熟せしめていったのである。

「猟奇、旅行、遠き国への憧れ、畸形的なものの描写、異常なアブノルマルな事件の偏好、脱けることのできない陶酔を見つけようとする試み――これらすべてのものは、読者はそうでないとしても、とにかく作家たちの基本的動向が自己からの逃避にあると思える世界