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こわれたバリコン
壊れたバリコン
海野 十三
「無線と実験」1928(昭和3)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,132 字 · 23 页
と私との二人とによって)行われるより外に出来ないことなのでした。Y――が私以外の者に語ることを断念し而も他界してしまった今日、それは唯私一人によって保たれている秘密なのです。未解決のまま残されている謎なのです。そこに私としての遺憾があり、義務さえあるように感ずるのです。そうした気持が、私をして敢えて誓いの鎖をひきちぎってまで貴方に御話することを決心させたのでした。それはあり得べき事か、またはY――の錯覚であるか、それはこの物語がすんだあとで貴方は当然私に答えて下さらなければならないのです。――
ではその話を始めましょう。私がY――から聴いたときのように、彼の口調を真似ておはなしを致しましょう。ですから、次のものがたりで「僕」というのは、とりもなおさずY――自身のことだと思っていただかなければなりません。
* * *
僕は少年時代からラジオの研究に精進していたラジオファンとして、あの茫莫たるエーテル波の漂う空間に、尽くることなき憧憬を持っているのでした。それは僕が始めて簡単な鉱石受信機を作って銚子の無線電信を受けた其の夜から、不思議に心を躍らせるようになった言わば一種の「萌え出でた恋」