轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こわれたバリコン
壊れたバリコン
海野 十三
「無線と実験」1928(昭和3)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,132 字 · 23 页
時計は既に次の日の方に廻って午前一時近くを指していました。僕は送信をやめて、受話器を頭に懸けたまま、シグナルを探すというよりも、この送受信を中止した明日から後は何をすることによって日々を楽しもうかと、あれやこれやの計画を思いつづけていました。その時のことです。恰度その時のことです。――
不図気のついた僕は、受話器の底に極く微か乍らヒューッという唸音らしきものが入っているのを聞きとることが出来ました。其の唸音は大きくなったり小さくなったりして全く聴こえなくなり、至って不安定なものでした。電波の遭難船とでも申しましょうか。それはエーテルの大海に、木の葉のように飜弄せられるシグナルでありました。
僕は急に頭脳が冴え返ったのを覚えました。僕は直ぐ様ローカル・オスシレーションの方を調節して見ました。カップリングを静かに変えて見ました。グリッド、リークを高めてみました。その結果はどうでしょう。僕が今まで出していたよりも尚一メートル程短い波長のところで受話器には小さい乍らも、立派に呼出符号と救助信号とを打っていることが聞きとれるではありませんか。
僕は夢ではないかと驚きました。