轻松读懂日语经典作品
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页
もしこれで私がこんな炉端にいなければ、どのような話がひそひそ進められたか甚だ私は気の毒な思いがする。どちらか云うと、私はいつも彼らの味方をしているので、悪いことも良いように解釈をしている傾きもあり、心覚えも要心しいしいというところがある。冷たい心で歴史を書くのが正しいか、愛情で歴史を見るのが正しいかはいつの場合もむつかしいことの根本だが、実相を危くして物的真実を追求するという手は、私はいつも嫌いだ。これは真実から遠のくことだ。
十月――日
はじけたあけびの実の口から落ちてくる雫。風に揺れた栗の下枝の間を、胸をはだけ雨に打たせて駈廻っている子供たち。磯釣の餌にする海老を手に入れた喜びで、眼を耀かせ、青竹の長さをくらべては栗の実を叩き落す子供たち。海から襲って来る密雲が低く垂れて霽れ間も見えない。加わって来る寒気つよく、稲刈に出ていたものらも午後にはどこも帰って来たが、参右衛門の妻女の清江だけは帰らない。黄ばんだ糸杉の下枝が濡れた屋根を包んでいる。森に雨が煙りこみ、つけ放したままの電灯にたかった蝿もじっと動かない。
暮れ方になってから清江が帰って来た。