轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よるのくつ

夜の靴

横光 利一

――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页

青空文庫

それ故和尚にだけは久左衛門も頭が上らない。その和尚が私の所へ、おはぎを携げて遊びに見えてからは、久左衛門も幾らか私への待遇が変って来て、今までは崩した膝を両手で組んでいたのも、このごろは、揃えた膝の上へ両手を乗せるまでになって来た。これは釈迦堂のお蔭である。そういえば、この菅井和尚の寺の釈迦堂からは、私たち一家は思わぬ手びきを受けている。私の妻がまだ一度も行ったことのないこの村の釈迦堂へ、実家のある街から汽車に乗り、参拝に来て、久左衛門の小舎の笹巻を買ったついでに、このあたりに部屋を貸す農家はないものかとふと訊ねたのが、私にこの六畳を与えられた初めだ。私は今も山を廻った所にある釈迦堂の上を通る度に、「よく見よこの村を」と、そっと囁かれているように思うのだが、一つはそのためもあって、早く東京へ戻ろうという気持ちは起って来ない。

「和尚さんはのう、あなたの家をこの村へ建てようじゃないかと、おれに云わしゃるのじゃがのう。どっか気に入った場所を探して、そういうて下され。そうしたら、村のものらでそこへ建てますでのう。」

甚だ話が突然なので私は答えに窮した。しかし、それだけでもう充分結構なことだ、深謝して辞退したきこと、久左衛門にいう。