轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页
「弱ったな」
げっそりした声を出して、小沢は思わず呟いた。
手ぶらで帰れば、雪子は今日も宿を出られず、昨夜と同じように一つの部屋で明かさねばならない。
よしんば、それは我慢するとしても、もう宿賃の払いが心細いのだ。
「昨夜、細工谷なんか歩いたばっかしに、おれも苦労するわい」
小沢は夜更けの雨の中で、一糸もまとわぬ雪子にいきなり出くわした時のことを、想い出しながら、苦笑した途端、ふと細工谷町の友人のことに気がついた。
その友人は独身だったが、案外細君を貰っているかも知れない。よしんば独身にせよ、たしか妹がいた筈だ。
「そうだ、あいつに頼んで、女の著物を借りるより手がない」
小沢はにぎり寿司の包みを受け取って、勘定を払うと、その食堂を出たが、どこをどう抜ければ、駅前の停留所へ出られるのか、はじめてのこと故さっぱり見当がつかず、迷宮のような闇市場の中をぐるぐる廻ったあげく、やっと抜け出してみると、そこは梅田新道通りだった。
小沢は苦笑しながら、阪急の方へ歩いて行って、やっと今里行の市電に乗った。
市電は混んでいた。
北浜二丁目で十人ばかり降りたので、小沢はいくらか空いている出口の方へ詰めて行こうとして、ひょいと見た途端、