轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页

青空文庫

「いいえ、はじめてです」

顔のオデキをかくそうとしてベタベタと塗り立てたのか、おかしい位こってりと厚化粧した女は、安白粉の匂いをプンプンさせながら、小沢の傍に掛けると、

「――おビール持って来まひょか」

大阪弁を使っているが、アクセントは上方のそれではなかった。どこからか大阪へ流れて来た女らしい。

「いや、いらん」

食堂だと思ったが、夜はカフェに変るのだろうか、いや、朝っぱらからもうカフェじみているわいと思いながら、小沢はぶっ切ら棒に断ったが、ふと思い出して、

「――それより、にぎりを持って来てくれ」

十五円のライスカレー一皿では、腹が一杯にならなかったのだ。

「にぎり一チョウ!」

「あ、二皿にしてくれ」

と、小沢はあわてて言った。

「――土産にするから、包んでくれないか」

阿倍野橋の宿で待っている雪子のことを、想い出したのである。

雪子も昨夜から何も食べていないのだ。だから、自分で食べるより、雪子のところへ早く持って行って、食べさせてやりたかった。

が、飯はこれで出来たが、著物はどうすればいいのか。

売り払って著物の金にかえる筈だった荷物は、しかし駅でなくなってしまった。