轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

寿平次の部屋には、先代からつけて来たという覚え帳がある。諸大名宿泊のおりの人数、旅籠賃から、入り用の風呂何本、火鉢何個、燭台何本というようなことまで、事こまかに記しつけてある。当時の諸大名は、各自に寝具、食器の類を携帯して、本陣へは部屋代を払うというふうであったからで。寿平次の代になってもそんなめんどうくさいことを一々書きとめて、後日の参考とすることを怠っていない。半蔵が心深くながめたのもその覚え帳だ。

「寿平次さん、今度の旅は佐吉に供をさせます。そのつもりで馬籠から連れて来ました。あれも江戸を見たがっていますよ。君の荷物はあれにかつがせてください。」

この半蔵の言葉も寿平次をよろこばせた。

翌朝、佐吉はだれよりも一番早く起きて、半蔵や寿平次が目をさましたころには、二足の草鞋をちゃんとそろえて置いた。自分用の檜木笠、天秤棒まで用意した。それから囲炉裏ばたにかしこまって、主人らのしたくのできるのを待った。寿平次は留守中のことを脇本陣の扇屋の主人、得右衛門に頼んで置いて、柿色の地に黒羅紗の襟のついた合羽を身につけた。関所の通り手形も半蔵と同じように用意した。