轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

香蔵は半蔵に言った。

「今になって、想い当たる。宮川先生も君、あれで中津川あたりじゃ国学者の牛耳を執ると言われて来た人ですがね、年をとればとるほど漢学の方へ戻って行かれるような気がする。先生には、まだまだ『漢ごころ』のぬけ切らないところがあるんですね。」

「香蔵さん、そう君に言われると、わたしなぞはなんと言っていいかわからない。四書五経から習い初めたものに、なかなか儒教の殻はとれませんよ。」

強雨はやまないばかりか、しきりに雲が騒いで、夕方まで休みなしに吹き通すような強風も出て来た。名古屋から福島行きの客でやむを得ず半蔵の家に一宿させてくれと言って来た人さえもある。

香蔵もその晩は中津川の方へは帰れなかった。翌朝になって見ると、風は静まったが、天気は容易に回復しなかった。思いのほかの大荒れで、奥筋の道や橋は損じ、福島の毛付け(馬市)も日延べになったとの通知があるくらいだ。

ちょうど半蔵の父、吉左衛門は尾張藩から御勝手仕法立ての件を頼まれて、名古屋出張中の留守の時であった。半蔵は家の囲炉裏ばたに香蔵を残して置いて、ちょっと会所の見回りに行って来たが、街道には旅人の通行もなかった。