轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
02 第一部下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,315 字 · 25 页
問屋としての半蔵の仕事を手伝わせるために、わざわざ吉左衛門が見立てたのもこの栄吉だ。
「叔父さん、早いじゃありませんか。」
「あゝ。もう半蔵も帰りそうなものだと思って、ちょっとそこいらを見回りに来たよ。だいぶ荷もたまってるようだね。」
「それですか。それは福島行きの荷です。けさはまだ峠の牛が降りて来ません。」
栄吉は問屋場の御改め所になっている小さい高台のところへ来て、その上に手を置き、吉左衛門はまたその前の羽目板に身を寄せ、蹴込みのところに立ったままで、敷居の上と下とで言葉をかわしていた。吉左衛門のつもりでは、退職後の問屋の帳面にも一応は目を通し、半蔵の勤めぶりに安心の行くかどうかを確かめて、青山親子が職業に怠りのあるとは言われたくないためであった。でも、彼はすぐにそんなことを言い出しかねて、栄吉の方から言い出すいろいろな問屋場の近況に耳を傾けていた。
「大旦那、店座敷(ここは宿役人の詰め所をさす)の方でお茶を一つお上がり。まだ役人衆はどなたも見えていませんから。」
と小使いの男が言う。吉左衛門はそれをきッかけに、砂利で堅めた土間を通って、宿役人の詰め所の上がり端の方へ行って腰掛けた。