轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆめのごとくしゅつげんしたかれ
夢の如く出現した彼
青柳 喜兵衛
「月刊探偵」黒白書房、1936(昭和11)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,194 字 · 5 页
だったのである。
久作さんはかくして名探偵作家として突然にも、夢の如く現れて来たのであった。
筆者がまだ郷里の商業学校の生徒であった頃、最近も穿いておられたのを見るとよ程好きであったらしい灰色のコールテンズボンに違った上着で、相撲の強かった大男のKさんと、奥さんもたまには来られた様であったが、香椎の山奥で作ったと云う水密桃だの梨だの葡萄だのを市場――筆者の父は青物果実問屋の親爺であった――へ持って来られていたのをよく知っている。その頃久作さんは農民であった。而も露西亜好きの農民の様であった。あの杉山さんが夢野久作であったのかと思えば夢の様でもあり、ない様でもある。
それから間もなく、ルパシカに長靴、馬上ゆたかにと云うのかどうかしらないが威風堂々とゆられつつ、謡いつつの奇妙な新聞社通いが始った様であった。
農民時代から文字通り理想的な晴耕雨読か、それとも晴読雨書なのか、姿こそ農民であっても、一たん彼氏の部屋には入れば、萬巻の書に足の踏場もなかったとは次兵衛がよく話していた。あの長篇快作『ドグラ・マグラ』も此の頃から書き始められたのではあるまいか。
久作さんは又非常な情熱家であった。