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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
――黙子覚書――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页
これもわたくしが早くから抱かされた思想である。近ごろ『ツァラツストラ』を読み返してみたが、あの難解な永劫回帰がどうやら自分流に領会されるように思われた。永劫回帰といえども、輪廻思想に基かねば建立されもしなかったろう。
――そこで死はどうであるか。「永遠なる再来」は慰藉にはならない。ツァラツストラの末期に筆をつけ兼ねた作者の情を自分は憐んだ。
こういって、ファナチカルな行為を極端に忌んだニル・アドミラリの作者は『妄想』の一文の中で、血の滴りのほとばしるような芸術的な偉大な幻想をこともなく放りだした。わたくしにはそれだけの勇気がない。
輪廻は変貌であるともいえる。
わが皮膚は苦行の道場、閨房の絨氈、
冷やかな石に地熱を吸ふ獅子の恍惚。
われはわが頭に本より生れぬ言語を哺育み、
われは又わが心に本より死なぬ赤子を悲み嘆く。
われはこれ栴檀の林、虚空の襞の大浪、
高山の車輪の一列、一切の変装者、
隙もなく魂を食み尽すが故に無上の法楽――
わが密厳詩。そこに「同時」を貪る「刹那」を聴く。
人生は永遠の眼から見れば、単調な、さして取柄もない一平面に見えもしよう。そうはいうもののその単調は絶えず刹那のきざみによって克服されねばならない。