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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
――黙子覚書――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页
といい足した。
庭つくりすゑしいはほをしが山と昇り降りすもあがとかげまろ
鶴見はこんな歌を即興によんだことがある。その折のことをおおかた思い浮べているのだろう。
静岡で家を新築する時のことであった。狭い借地に家を建てるので、家を主とすれば庭なぞというようなものは造れない。そこで鶴見は計画をめぐらした。僅に十坪ぐらいの余地しか使えないのでは、花壇を拵えるにしても、趣きを出すには寛ぎが足りなさ過ぎる。その上いけないことには、その地所は鍵の手に板塀で囲まれていた。板塀の外は街路で交通量が多い。何かにつけて殺風景である。それを逆に取って見るのも面白かろう。狭い庭に思いきり大木と大石とを配置して見よう。
鶴見はそう思い附いて、庭師を呼んで、その処置をすっかり委せることにした。庭師は若い時分名古屋へ行って修行して来たとかいっている。腕前の好いことは、市内に散在するその実績を見ているので間違いはあるまいと思ったからである。
庭造りには地所の狭い割に人夫も大勢かかり、万力などという道具もいろいろと備え附けられる。そうこうするうちに、庭師の自慢の大石が運ばれて来た。