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おおきなかに
大きなかに
小川 未明
「婦人公論」1922(大正11)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,912 字 · 12 页
いつもなら、太郎は日が暮れるとじきに眠るのでしたが、不思議に目がさえていて、ちっとも眠くはありませんでした。そして、こんなに暗くなって、おじいさんはさぞ路がわからなくて困っていなさるだろうと、広い野原の中で、とぼとぼとしていられるおじいさんの姿を、いろいろに想像したのでした。
「さあ、お休み、おじいさんがお帰りになったら、きっとおまえを起こしてあげるから、床の中へ入って、寝ていて待っておいで。」と、お母さんがいわれたので、太郎は、ついにその気になって、自分の床にはいったのでありました。
しかし、太郎は、すぐには眠ることができませんでした。外の暗い空を、吹いている風の音が聞こえました。ランプの下にすわっているときも聞こえた、遠い、遠い、北の沖の方でする海の鳴る音が、まくらに頭をつけると、いっそうはっきりと雪の野原の上を転げてくるように思われたのであります。
しかし、太郎は、いつのまにか、うとうととして眠ったのであります。
彼は、朝起きると、入り口に、大きな白い羽の、汚れてねずみ色になった、いままでにこんな大きな鳥を見たこともない、鳥の死んだのが、壁板にかかっているのを見てびっくりしました。