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たいしかんのしまつきかん

大使館の始末機関

海野 十三

――金博士シリーズ・7――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

本当に突撃隊ですかなあ」

「すぐとんでいってきりきり巻きつくところから見ても、それが突撃隊員だということが分る。その毒蛇が人語を喋ることが出来れば、もっと詳しいことが分るのじゃが……」

話の最中に、醤の部下が、庭の方からあわただしく食堂の中にとびこんできた。

「委員長。たいへんです。金博士が、只今これへ現れます」

「え、こっちへ金博士が……」

「あ、あの足音がそうです」

ずしんずしんといやに底ひびきのする足音が聞える。醤は、泡をくっているうちに、逃げ場を失い、またもや卓子の下にごそごそと匐い込んだ。

卓子のシーツの裾が、まだゆらゆら揺れている最中に、金博士がぬっと入って来た。どうしたわけか、金博士は、頭の上から肩のへんにひどく泥を被っていた。

「やあ、金どのか。一杯どうじゃ」

王老師も、ちょっとおどろいて、前にあった盃をとって差し出した。

「いや、酒はもうたくさんですわい」

と金博士が、落付いた声でいった。

うむと呻った老師は、のみかけの酒を食道の代りに気管の方へ送って、はげしく咳き込んだ。

「いや、老師先生。ここの酒は、あまり感心しませんなあ」

「そ、そんなはずは……ごほん、ごほん」