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たいしかんのしまつきかん

大使館の始末機関

海野 十三

――金博士シリーズ・7――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

その奈落には、火薬炉が大きな口をあけて待っているのだ……」

「能書はあとにして、金博士を骨にして見せて下され」

「いざ、いざ、これを見よや」

王水険老師は、この寒中に汗だくだくとなって、廊下の床をおとすスィッチを引いた。

金博士は、廊下をそのときゆっくり歩いていたが、何の考もなく、この手に引懸って、奈落へ……。それから、がちゃん、がらがらと大きな音がして、身は火薬炉の中に密閉されてしまった。

電気炉のスィッチは入った。じりじりと電熱線は身ぶるいをはじめ、燻げくさい熱が久振りに人間の膚を慕って、匐いよってきた。

高熱三時間。これくらい長い間熱すると、人間の肉や皮は燃えおち、人骨さえ、もう形をとどめず、ばらばらとなって、一つかみの石灰としか見えなくなる。

「もうこの辺でよろしかろう。ほう、ずいぶん手間をとらせたわい」

と、王老師は、醤立合いで、火葬炉の蓋をぎりぎりばったんと開けてみた。すると、あら不思議、炉の中からは、依然たる姿の金博士がぬっと現われ、

「わっはっはっ、わっはっはっはっ」

と、あたりかまわず無遠慮な笑声を響かせながら、そこを出て、階段をとことことのぼっていってしまったのである。