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だいこのは

大根の葉

壺井 栄

「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页

青空文庫

健はつきまわっておばあさんが立つたびに立ち、しゃがむたびにしゃがんだ。

「おばあさん、豚ん家い健も行こうか。」

「そうよなあ、大根の葉あがからかったんなら仕方がない。豚ん家いでも行きましょうかいな。」

「みんなに黙って行こうか。」

健はうれしくて、声をひそめた。おばあさんはしゃがんで、豚桶にわたした担い棒を肩にのせ、右手で柿の木につかまって、よいこらしょ、と立ちあがった。二つの豚桶が前とうしろでドボドボと音を立てて少しずつ中のものがこぼれた。

豚小屋は裏の段々畑の丘の中ほどにあった。荒神様の横を通りすぎて上をむくと、藁葺の小屋がこちらをむいて立っているのが見える。畑と畑とにはさまれたなだらかな坂道を、おばあさんは健の首までもある大きな豚桶をになって、えっちらおっちら上がって行く。その後から健もえっちら、おっちらとついて行った。道は、真中の人の踏むところだけ残して、枯れた芝草の中から蓬や嫁菜の青い葉が雑草といっしょに萌えだしていた。坂が急なところへくると、おばあさんは蟹のように横むけになって足をかわした。よいこら、よいこら、とかけ声をかけた。

「おばあさん、豚桶、重たい重たいか。