轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

23 他生の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 页

青空文庫

机竜之助もまた、その時、ずんずんと進んでいた足をとどめて立っていると、

「お内儀さん――お内儀さん、お迎えに参りましたよ、お一人歩きをなさると、お危のうございますよ」

甲に高い浅吉の呼び声は、感情もまたたかぶって、沼のほとりを、あちらこちらとさがし廻っている様子が、なんとしても穏かには響きません。

「お内儀さあ――ん……」

聞いていると、どこまでも嫉みを持ってものを追い求める声です。

「ねえ、先生……」

後家さんは、半ば恐怖の色を以て、竜之助にすがるように、

「あれは、うちの浅公ですよ……御存じでしょう、わたしの雇人ですが、このごろ、どうしたものか、わたしを恨んでいます……恨んではいるけれども、口に出しても、手に出しても、何もすることはできない意気地なしなんですが、ああいう意気地なしが思いつめると、また何をしでかすかわかったものではありません……この間の晩も……」

といって、後家さんの唇の色が変って、舌がもつれました。

「ねえ、先生、この間の晩、夜中に、どうも変ですから、ふいに眼がさめて見ますとね、あの野郎がわたしのこの咽喉をおさえて、こうして……わたしを絞めようとしていたんですね、吃驚して、起き直って、わたしが、とっちめてやりますと、泣いてあやまりましたが、あんなのがかえって怖いのかも知れません。