轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

「ははあ」

田山白雲は、何かしら感歎しました。

「お嬢さんは、あたしに逢いたがっているでしょうね、あたしが弁信さんに逢いたがっているように。そうして、おじさん、お嬢さんは、あたしのことを何とか言わなかった?」

「左様……」

白雲は、別段この少年へといって、あの娘から言伝てられた覚えもない。

「お嬢さんが、あたしに初めて歌を教えてくれたのよ、それからあたしは歌が好きになってしまったのよ」

「なるほど」

そこで、田山白雲が、その時の記憶を呼び起して、あの晩、岡本兵部の娘が羅漢の首を抱いて、子守歌を唄ったのを思い出しました。その時、白雲も胸を打たれて、この年で、この縹緻で、この病と、美しき、若き狂女のために泣かされたことを思い出しました。

ねんねんねんねん

ねんねんよ

ねんねのお守は

どこへいた

南条長田へ魚買いに……

清澄の茂太郎は、その時、何に興を催したか、行燈の光をまともに見詰めて、この歌を唄いはじめると、田山白雲は何か言い知れず淋しいものに引き入れられる。

そうだ、あの時、岡本兵部の娘は、石の羅漢の首を後生大切に胸に抱えて、蝋涙のような涙を流し、

「ねえ、あなた、この子の面が茂太郎によく似ているでしょう、そっくりだと思わない?」