轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

30 畜生谷の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,962 字 · 145 页

青空文庫

それと共に、大入道の出すような赤い舌がメラメラとして、室の四隅を上から下へと舐め廻して来たので、さすが動乱している会衆も、その異様な赤味と、赤味が煽る熱さとに、いたたまれなくなったと見えます。

そこで彼等のうちの一隊は、イヤなおばさんの入れられた寝棺を、無意識に担ぎ出しました。われも、われもと、その寝棺に手がかかり、肩がかかると、お神輿を揉むが如くに、その寝棺を揉み立てると、それを自然に、後ろから火勢が煽るものですから、ちょうど水が溢れて、船が動き出したと同じように、いつか知らず、寝棺は家の外へとかつぎ出されましたが、棺にとりついていた幾多の人々は、半面火傷の者もあり、衣服にまで火のついたものもある。

「あ、熱!」

「熱!」

火が室外に追い、熱さが、この一行を宮川河原まで追い出してしまいました。

やはりお神輿を揉むように、揉みに揉んで宮川の河原へ、一同が押し出した時分になって、あたり近所がようやく騒ぎ出しました。打てば響くように代官所が出動したのは、単にこれは、一民家の騒動だけではないと見たからであります。

二十六

かの高村卿と呼ばれた公達と、宇津木兵馬とは、この時、右の屋敷に居合わさなかったのは確実です。