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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
41 椰子林の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页
これまたその手つきのあざやかさに、またも関守氏の舌を捲かせ、
「うまいもんだ」
と言って、思わず感歎すると、がんりきは、こんなことは小手調べの前芸だよと言わぬばかりの面をして、
「本来は、この壺皿を左の手にもって、右で振込むやつをこう受取るんでげすが、手が足りねえもんですから、置壺で間に合せの、まずこういったもので、パッと投げ込む、その時おそし、こいつをその手でこう持って、盆ゴザの上へカッパと伏せるんでげす、眼に見えちゃだめですね、電光石火てやつでやらなくちゃいけません」
左で為すことを右でやり、右で行うことを、また引抜きで左をつかってやるのだが、一本の手をあざやかに二本に使い分けて見せる芸当に、関守氏が引きつづき感心しながら、膝を組み直し、
「まあ、委細順序を立ててやってみてくれ給え、ズブの初手を教育するつもりで、初手の初手からひとつ――いま言ったその盆ゴザというのは、いったいどんなゴザなんだ、バクチ打ち特有のゴザが別製に編ましてあるのか、いや、まだそのさきに、この場では湯呑が代用のその本格の壺というやつの説明も願いたい」
「壺でげすか、壺は、かんぜんよりでこしらえた、さし渡し三寸ばかりのお椀と思えば間違いございません、雁皮を細く切ってそれを紙撚にこしらえ、それでキセルの筒を編むと同じように編み上げた品を本格と