轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
34 白雲の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页
その時に、微風が吹いて来て、机の上を煽ると、さして強い風ではなかったけれど、半紙の薄葉を動かすだけの力はあって、二三枚、辷るように、ひらひらと畳の上へ舞い下りました。
神尾が、あわててそれを抑えにかかった手先から洩れたところには、「半生記」との題名が読まれる。
ははあ、著作といったのは、身の上を書いているのだな、しおらしくも、神尾主膳が自分の「半生記」の懺悔録でも書き残して置きたいという了見になったと見える。
それに相違ない、神尾の著作といったのは、かねてよりの宿望で、自分の父祖から、わが身の今日までの自叙伝を一つ書いて置きたいという、その希望が今日になって実現しかけたというわけなのです。そうして、書き進んで、神尾は自分の母のことを書く段取りになりました。母のことを思い出して書いて行くうちに、右の「女賢シウシテ牛売リ損ネル」につき当って、その解釈に当惑したという次第なのでありました。
そこで神尾は、筆に現わすべき進行をやめて、その代りを頭の中に再現させ、自分の母というものの面影を脳裏に描いてみました。
神尾主膳の母――
それが当人の頭の中での主題となっているのであります。