轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たいしゅうものすんかん
大衆物寸観
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年1月6日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,172 字 · 5 页
恰度新派の芝居なるものが、本当の人間をウツして来ずに、甘く低級に理想化された、侠芸者だの悪弁護士だの、屹度出世する苦学生だの、天女のような令嬢だのを、所謂る善玉悪玉式に、ウヨウヨ舞台へ現すように大衆物の中へも現して来て、読者へ偽善ばかりを強いている。
所が長谷川氏の大衆物になるとそういう欠点は見られない。殆ど一人の英雄もいない。命の惜しい侍や、ブルブル顫えている泥棒や、どうにも仕方の無い安手ゴロや、そんなものばかり現れて来る。血の通っている人間である。
本当の人間を描く点と、その作風の地味な点とで、長谷川伸氏の大衆物は、正宗白鳥氏の創作と、その趣を等くしている。
小酒井不木氏の探偵小説は、専門の智識を根底とし、そこへ鋭い観察眼を加え、凄惨酷烈の味を出した点で、他に殆ど匹儔を見ない。――と、こんなような真正面から、ムキ出しに讃辞を呈すると、或は謙恭な小酒井氏は、恐縮して閉口するかもしれない。併し他人の閉口なんか、私はちっとも苦にしない。で、平気で褒めつづける。
「手術」は凄惨な作である。縮尻ると惨酷になったろう。だが夫れは救われている。正直な質朴な表現が、それを救っているのである。