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てんま
天馬
金 史良
「文芸春秋」1940(昭和15)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,407 字 · 70 页
「だからですよ」と小説家は顔の筋肉をひきつらせて慌てたように叫んだ。「それだから官僚たちの気はどうも分らんというのですよ。一種の気紛れなんですね。要するに大村君は僕という人間がまだ分っていないんです。つまり尋常でない芸術家が分らんのです」
「そうね」女流詩人は愁然として肯いてみせ、それから不意におほほほと笑い出した。
「いや笑うことではないのです。ランボウやボードレールが一般の俗人達にどんなに非難されたかを少しでも憶い出してごらんなさい」玄竜はいよいよ雄弁になって手を振り上げた。「朝鮮の芸術家、それは何という不幸な存在でしよう。自然は荒廃し民衆は無知であり、インテリは又芸術の高貴さを知らない。僕はここでゴーゴリがペテルブルグの画家を慨いたことを思い出します。凡てが鈍重で悦びもなく又誰一人にも朝鮮の芸術家は大事にされないのです。捨てられた芥の中でもがき合っているだけなんだ。僕もつまり芥の中に掃き出された一人の犠牲者なんですよ。成程僕は誰よりも大村君とは親しいしどんなことでも相談し合って来た。だが、今になっては彼はこの僕に向ってお寺へ行って坐禅をくめと云うのです。