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たいへいようらいげきせんたい
太平洋雷撃戦隊
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,885 字 · 24 页
「潜航! 深度三十メートル、全速力!」
艦長は元気な声で号令をかけました。
艦はみるみる海上から姿を消して、なおもドンドン沈んでゆきます。潜望鏡も、すっかり水中に没して、今は水中聴音機が只一つのたよりです。こうなると、いつ飛行機から爆撃されるか、全く見当がつかなくなります。
乗組員は、艦長の心の中を、早く知りたいものだと焦りました。
「深度三十メートル」
潜舵手が明瞭な声で報告しました。
「よし、そこで当直将校、水中聴音機で探りながら、×の汽船の真下に、潜り込むのだ。丁度真下に潜っていないと、危険だぞ」
艦長の口から出た命令は、なんという大胆な、そして思いもかけぬ作戦計画でしょう。ところもあろうに、×船の腹の下に潜れというのです。成程、この大汽船の腹は広々として、○号潜水艦の五つや六つは、わけなく隠れることが出来ます。
乗組員は勇躍して、艦体を操りました。
これに気づいた×の汽船は大あわてです、備えつけの砲に弾をこめているうちに、潜水艦はもう、砲撃ができないほど、船底間近にとびこんで来たのです。
×の攻撃機は、潜水艦からの砲撃をさけるためにすこし離れて飛んでいたので、あっと気のついたときには、もう潜水艦は、グルリと半廻転して、味方の船底にぴったりと附いてしまったあとでした。