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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「え、旅客機で、太平洋横断をするのでありますか」

「そうだよ。あの旅客機は、幸いにもちょうど北赤道海流の流れているその真上を飛んでゆくような航空路になっている。君は機上から、一度よく偵察をするのだ。その模様によって、第二の行動をおこすことにしてくれたまえ」

「はい。誓って任務をやりとげます」

ここに太刀川青年は、特別任務を帯びて、謎の太平洋へ出発することとなった。

その前三週間、彼は短期ながら、偵察員としての特別の訓練をうけた。早くいえば探偵術を勉強したのである。

いよいよ出発の日、原大佐は太刀川青年をよんで、最後の激励の言葉をのべ、そのあとで、

「おい太刀川。君にぜひとも持ってゆかせたいものがある。これだ。これをもってゆけ」

といって、渡したものがあった。それはチョコレート色の太いステッキであった。

「これはステッキですね。ありがたく頂いてまいります」

「ちょっと待て。このステッキは、見たところ普通のステッキのようだが、実はなかなかたいへんなステッキなのだ」

「え、たいへんと申しますと」

「うん。このステッキの中には、精巧な無電装置が仕掛けてある。これをもってゆき、こっちと連絡をとれ。