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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「おとなしくしろ」

「副司令の服なんか着こんで、ふとい奴だ」

潜水隊員は、口々にわめいて、四方から太刀川におどりかかった。

(よし、来い)

と、太刀川が決心してたち上ったが、とたんにある考えがひらめいた。「そうだ」とつぶやくと、まるで猫の子のようにおとなしくなって、たちまち、隊員たちにとりおさえられてしまった。

「はははは、見かけによらない弱虫の大佐どのだ」

隊員たちは、あざけり笑いながら、太刀川の両腕をとって、リーロフの前にひきすえた。

リーロフは、ますますごきげんであった。

「わっははは、貴様は当番の一等水兵マーロンだといったな。潜水兜をきているのでは、どこのどいつか顔が見えない。顔を見てから、話をつけてやる。おい、みんな、はやくこいつの兜をぬがしてみろ」

リーロフは、太刀川の潜水兜に自分のをよせて、ごつんごつんと、いじのわるい頭づきをくれた。

その時、

「ええい!」

はげしい気合が、太刀川の口をついてでた。

彼は、この時のくるのを、さっきから待っていたのだ。

「ああ――」

「うむ!」というさけび。

太刀川は、満身の力を両の腕にこめて、隊員たちにつかまれている腕をふりほどいたのだ。