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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「ただ今、十日午後六時。北北西の風。風速六メートル。曇天。あれ模様。海上は次第に波高し」

「よろしい」

だが、しばらくすると、おどろくべき報告がはいってきた。

「……日本第一、第二艦隊は、かねて琉球附近に集結中なりしが、ただ今午後六時三十分、針路を真東にとり、刻々わが海底要塞に近づきつつあり。彼は、決戦を覚悟せるものの如し」

「ほう、日本艦隊もついにはむかってくるか。どこで感づいたのだろうか。いやいや、もっと見はってみないと、にわかに日本艦隊の考えはわかるまい。とにかくリーロフ提督、君のひきうける敵艦隊の行動について、ゆだんをしないように」

と、ケレンコがいえば、リーロフは海図をながめて、無言でかるくうなずいた。

おそろしい時が、刻一刻と近づきつつある。ケレンコのひきいる怪力線砲をもった恐竜型潜水艦隊の、おそるべき攻撃破壊力の前に、わが日本海軍が、はたしてどれほどの抵抗をみせるであろうか。

この時、快男児太刀川時夫は、一たい、どうしていたか。

――われわれは、目をうつして彼が両脚をしばられて、とじこめられている部屋をのぞいてみよう。

太刀川は、どうしたのか、脚をしばられたまま、床のうえに、うつぶせになって、たおれている。