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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
あれを直さないかぎり、本艇は海上に墜落のほかない!」
「なにを!」
ケレンコは、ゴリラのように歯をむいて、太刀川青年の方へちかづいた。
荒肝をひしぐ
どこまでも、不運なクリパー号は、この暴風雨のために、方向舵までも、まげられてしまった。
艇にとっては、今や人も機械も何のやくにもたたない。ただ暴風雨のまにまに、どこまでも、ながされてゆく。
いつ突風がおこるかわからない。突風がおこって艇にたたきつけるようなことがあったら、おしまいである。下にはあれくるう波が、艇と人とをひとのみにしようと、白い牙をむいて待ちかまえているのだ。さすがのケレンコも、太刀川青年に、方向舵の曲ったことを知らされて、顔色をかえてしまった。
が、太刀川青年は、おちつきはらって言った。
「さあ、どうしますか、ケレンコさん。われわれはともかく、あなたがたは、ここで艇と一しょに、海中へおちて死ぬつもりですか」
ケレンコは、だまっていたが、その目は、あきらかにうろたえていた。
「どうしますか、ケレンコさん。われわれも死ぬが、あなたがたも一しょに死ぬのですよ」
太刀川青年は、ここぞとばかり言った。