轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふじんたんさく
夫人探索
夢野 久作
「探偵趣味」1927(昭和2)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,847 字 · 4 页
一
「百万円あったら、ああしよう……こうしよう」
と空想していた青年中村芳夫は、思いもかけぬ伯母の遺産を受け継いで一躍百万長者になった。
芳夫は早速数万円を投じて素破らしい邸宅を建てた。そこに美姫と、美酒と、山海の珍味を並べて、友達を集めて昼夜兼行の豪遊をこころみたために、百万円は瞬く間に無くなって、些なからぬ借財さえ出来た。その抵当に邸宅を取られた彼は、再びもとの通りの無一物になってしまった。
二
「不思議だ。奇怪だ。不可解だ。百万円を得ない前の自分と、失った後の自分との間には何等の相違もない。空想の百万円と実物の百万円とは、使用した結果から見ると全く同じものであった。おお百万円よ。お前は何のために自分に天降ったのか。何故にかくも無意義に自分から消え去ったのか。おお百万円よ。お前はどこへ行った」
芳夫は腕を組んでこう考えた。識っている限りの人々にこの疑問を提出して解決を求めた。
三
山本という社会学者は云った「百万円をお前から奪い去ったのは、百万円自身である。お前が識ったことではない」
松井という法律学者は云った「お前自身がお前から百万円を奪い去ったのだ」