轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

09 大名の倅

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,286 字 · 20 页

青空文庫

幸い落ち散る抜刀が一腰、争う弾みに、二人の曲者の一人が投げ出したのでしょう。

それを振り冠って、一瞬の猶予もなく、娘を押えた男の肩先へ、鉄をも断てと斬り込んだのです。

袷の上から、大なまくらな腕で斬り付けたので、それは蚯蚓腫れほどの傷をつけたか何うかわかりませんが、二人の曲者を驚かすには十分でした。

たった一人の娘っ子をさえ、殆んど持て余していた二人です。恰幅だけは立派な頼門が、素裸で飛込んで斬り付けた気組は、まさに圧倒的でそして効果的でさえありました。

「いけねえ、逃げろ、兄弟」

「いまいましいが、向うから、親父も来やがる」

二人の曲者は何やらしめし合せると、娘を見棄ててサッと山の中へ、狩られた兎のように飛込んでしまいました。

「どうした、怪我は無いか」

頼門はその手を取って引返す術も知らず、娘の側に立って鷹揚に訊ねました。

「有難う御座います、お蔭様で」

娘は顔を上げる気力もなく、両手にふくよかな乳房を隠して小さくふるえて居ります。

黒髪は肩から背へと乱れて居りますが、大理石を彫んで血を通わせたような、胸から腰への線の美しさ。脂粉の中におった出雲守ですが、世の中にこれほど美しく尊いもののあることを、曾て想像もしたことが無かったのです。