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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

09 大名の倅

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,286 字 · 20 页

青空文庫

フィナーレ

。今となっては百姓幾万の命を救うため、金森家の嫡々の出雲守殿が、金森家を潰される外には道は無い」

「――――」

「百姓町人が莚旗を押立て、濃州の野を血に染めても、兵部少輔殿の巧智と弁佞に勝つ見込は無い。――金森家を潰すも貴殿、金森家を興すも貴殿だ」

「――――」

「その大事な役目を果した後、一介の金森亥太郎殿になって、この山に帰られるがよい、その時こそは遠藤主膳、喜んで娘を差上げよう。何うだ、桂、お前も此父親の気持がよくわかるだろう」

顧みれば娘の桂は、涙の顔を挙げて、二つ三つ点頭いて見せるのです。涙に薫蒸されて、匂いこぼるる処女の顔の美しさ――、

「一々御尤も」

「やるか、出雲守殿」

「いかにも」

「見事日本一の親不孝になって――」

「親は子のために隠し、子は親のために隠す、直きことその内にあり――と教わりましたが」

「それは私情だ」

「やりましょう、日本一の親不孝になって、濃越三万八千石の百姓を救いましょう」

挙げた顔――二十九歳の端麗な出雲守頼門は、蒼青になって、涙さえ垂れて居りました。

フィナーレ

「金森出雲守は、其場から江戸に馳せました。父を訴える子は、日本中の非難を浴び、鬼畜の如く罵られ乍ら、一年近い訴訟の後、到頭勝って、少数奸臣の悪事も明白となり、金森家は領地を召上げられ、城主兵部少輔は南部大膳太夫にお預けとなりまし