轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
「ロマンス」ロマンス社、1949(昭和24)年10月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,757 字 · 66 页
また自分の若いとき使った着物や、派手な下着や肌の物など、幾品となく出して来て呉れたし、借りてある専用の鏡台には、白粉や口紅や香油なども揃えて呉れた。しかしおなつはどうしても派手にはつくらない、せっかく結って貰った髪も、すぐ元のように自分でなおしてしまった。
「こう致しませんと、なんですか気持がおちつきませんの」
「それではまるでお婆さんのようではないの」
「でもわたくしにはこれがいちばんしっくり致しますわ、生れつきでございますね」
こう云ってすがすがしく微笑するのであった。
だがおなつは知っていた、そういうじみすぎるほどじみなつくりが、どんなに飾るよりも自分の美しさを際立たせ、どのように男たちの注意をひきつけるかということを――彼女の体つきは小柄であるし、着物を着ると痩せてみえるが、じっさいは柔軟な好ましいにくづきで、手足のさきのすんなりと小さいわりに、腰や太腿は張のある豊かな緊張をもっていた。……成熟しきっている若さと、あふれるような艶やかさは、着付や髪かたちが、じみでくすんでいるほど逆に魅力をつよめるものだ。
――美しいものはあらわすよりも、隠すほうがさらに美しくみえる。