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にょたい

女体

芥川 竜之介

夏夜失眠,杨某的灵魂竟钻进一只虱子,在寝床上爬行。前方一座巨大的雪山——那是妻子赤裸的身体!这奇异的微观世界,将带他经历什么?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,091 字 · 3 页

青空文庫

楊某と云う支那人が、ある夏の夜、あまり蒸暑いのに眼がさめて、頬杖をつきながら腹んばいになって、とりとめのない妄想に耽っていると、ふと一匹の虱が寝床の縁を這っているのに気がついた。部屋の中にともした、うす暗い灯の光で、虱は小さな背中を銀の粉のように光らせながら、隣に寝ている細君の肩を目がけて、もずもず這って行くらしい。細君は、裸のまま、さっきから楊の方へ顔を向けて、安らかな寝息を立てているのである。

楊は、その虱ののろくさい歩みを眺めながら、こんな虫の世界はどんなだろうと思った。自分が二足か三足で行ける所も、虱には一時間もかからなければ、歩けない。しかもその歩きまわる所が、せいぜい寝床の上だけである。自分も虱に生れたら、さぞ退屈だった事であろう。……

そんな事を漫然と考えている中に、楊の意識は次第に朧げになって来た。勿論夢ではない。そうかと云ってまた、現でもない。ただ、妙に恍惚たる心もちの底へ、沈むともなく沈んで行くのである。それがやがて、はっと眼がさめたような気に帰ったと思うと、いつか楊の魂はあの虱の体へはいって、汗臭い寝床の上を、蠕々然として歩いている。