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じょよう

女妖

江戸川 乱歩

01 前篇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,691 字 · 20 页

青空文庫

やっぱり下には何も着ていなかった。その一と目が、浩一を電気のように撃ち、全身のうぶ毛が総毛立った。

婦人の手が自分の肩を抱いているのを感じた。浩一は両手で顔をおさえて、長いあいだ、だまっていた。すると、彼の肩が異様にふるえ、両手の中から、少女が笑っているような声が漏れた。そして、手の指のあいだから、キラキラ光るものが、にじみ出して来た。

婦人はだまって、それを見ていた。したいようにさせておいた。

浩一はやっと泣きやんで、涙にぬれた顔をあげた。そして、低い鼻声で恥かしそうに云った。

「なぜ泣いたかわかりますか。……あなたが好きだからです」

彼は激情のためにブルブルふるえていた。

「もういいのよ。泣かないで。あなたの気持よくわかるのよ。あたしだって好きよ。涙にぬれた顔、まるでちがうように見えるわ。美しいのよ。あなた、自分の美しさを知ってて?……あなたのような人に会ったの、はじめてよ」

婦人は浩一の髪の毛を、もてあそんでいた。その感触が、電気のように、彼の心臓まで響いて来た。

「ほんとうのことを云いましょうか」

「ええ、云ってごらんなさい」

「ぼくは子供のときから、あなたのことを夢に見ていたんです。