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じょせい

女婿

佐々木 邦

「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页

青空文庫

実をいうと、妙子さんのお里では列席する親類が多いから何処か他のところへ持って行きたかったのだが、清之介君はそれを一つの条件にしていたのである。此方へ貰うのだ。先方へ貰われるとは間違いにも思われたくなかった。而も世上の口には戸は立てられない。清之介君が二月振りで、未だ多少病後の衰弱の残っている顔を見せ始めた当座、会社の同僚は、

「種馬にはなりたいものさ。僕等は結婚式でも三日が精々だが、支配人の養子となると扱いが違う。二ヵ月は蓋し世界中の記録だろうね」

「何あに、傍で思うほど楽でもなかろうぜ。ネクタイの結び方を忘れるほどまで御機嫌を伺うんじゃあね」

と蔭口を利いた。形式の如何に拘らず、清之介君の方が貰われて行ったものと思い込んでいる。

それから披露式の件についても、お客さまは殆んど皆会社と里方関係ばかりだから支配人に一任させて貰いたいと、仲人の児島さんを通して予め申出があったけれど、清之介君は応じなかった。何処までも対等にして置かなければ後日頭が上らないと考えたのである。随って費用は折半ということになった。しかしこれ丈けの苦心も察しの好過ぎる同僚にかゝっては敵わない。