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じょせい

女婿

佐々木 邦

「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页

青空文庫

「それに清之介は披露といっても同僚ばかりで皆見知り越しでしょうから、家に残るとして、仲人のお方と二方で宜しいじゃございますまいか? 私もお供致します」

と自分の存在を主張した。重役の令嬢と平社員の結婚だから、何うしても婿側の肩身が狭い。先方の親戚は豪そうなのが十何人か控えているのに、此方は北海道の運送屋さんが唯一の兄で、これが中風の父親と親類全体を一手に代表している。尤も九州の叔母の配偶に陸軍大佐がある。清之介君は心細さの余りこの人に列席して貰おうと思って、再三懇願したけれど、遠隔の地とあって到頭来てくれなかった。

「会社のものばかりなら何うでも構いませんが、他からも大勢見えるのです。しかし妻が御幣を担ぎますから、仰せに従いましょうかな」

「そこのところは私から宜しくお客さま方へ申し上げます」

と仲人も口を添えた。

「然う願いましょう。それじゃ清之介君、頼みますよ」

と父親は時刻が追々移るので、竟に納得した。

「は、承知致しました。もう間もなく医者も参りますから、は」

と清之介君は舅即ち支配人と思っているから、甚だ腰が低い。

「成る可く早く切り上げて参りますから、何うぞね」